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2005年 03月 29日

ラジオ、好きです

ライブドアとフジサンケイグループによるニッポン放送株争奪戦に新たな局面を迎えた今、この話題については私自身いささか食傷気味に感じている。
もう、お腹一杯って言うか。
今更、何か書いても反感買うだけかもしれないし、と、ちょっと弱気なところも見せつつ、これについてはもう書くまいと決めていた。
ところが、ふと、私は今頃になって重大なことに気づいたのである。
私はラジオが無くては生きていけないほどのラジオ大好き人間だったのだ。
ラジオ依存症と言ってもいいくらいで、ラジオ中毒、略して「ラジ中」と呼んでもらっても構わないほどである。
そんな私が、ラジオ放送局の受難を語らずして何を語れと言うのか。

私はニッポン放送の番組はあまり聴かない。
せいぜい、オールナイトニッポンを聴くくらいなものだ。
「ラジ中」の私ではあるが、今は特に好きな放送局というのはない。
しいて挙げるならABCとMBSくらいだろう。
どっちかって言うとMBSかな。
で、騒動の渦中にあるニッポン放送のことを、「もしこれが、私がよく聴いているMBSとかABCだったとしたら・・・」と、我が身に置き換えて考えてみた。
すると、どうだろう。
フツフツと怒りにも似た感情が湧き上がってくるではないか。
という事で、この騒動をラジオのリスナーの視点で思ったことを書いてみることにした。

---まずはライブドア
ほとんど堀江社長の個人攻撃に近いものを感じる昨今の報道ではあるけれども、堀江社長のことを「金儲け至上主義」と批判する意見が大勢であるが、私もそう思う。
ただ、私は堀江社長に対して怒りとかムカつきとか、そういう特別な感情はあまりない。
たしかに、彼が発したトンでも発言などを知るとトンでもないことを言っているとは思うけれど、あーゆー人には何を言ってもムダだろうという諦めのようなものがあるので、それ以上の感情は特に無い。

で、ニッポン放送やフジテレビの社員たちを怒らせたと思える「テレビや新聞を殺していく」という一連の発言については、「新しいメディアを作るんだ」という前向きなメッセージとして受け止めていた。
私がライブドアを支持した理由は以前にも書いたが、それは第4の権力であるマスコミへのカウンターパンチになってもらいたいという私個人の勝手な願望からくるもので、ニュースや記事の透明性を高めるとか既存メディアには出来なかった新しい「何か」を提案してくれるとか、そういうことに期待したからに他ならない。
しかし、例えば「現在のラジオ放送を止めて全部ネット配信にします」とか、「人気のある番組を有料配信にします」とか、新しい「何か」がそんな程度のことであったなら、私は断固反対する。

ラジオの何がいいかっていうと、作業をしながらでも聴けるという「気軽」なところだ。
仕事をしながらでも通勤で歩いているときでも、満員電車の中でも情報を得ることが出来る。
この「携帯利便性」においてラジオに勝るメディアはまだ無いと断言できる。
また、災害などの非常時には欠かせないツールでもある。

ところが、このラジオを「一部有料チャンネルになりました」とか「パソコンからでないと聴けないんですよ」なんてのは、ラジオの何たるかを全く知らない人間の発想にすぎない。
堀江社長がラジオとテレビの人間を怒らせた原因は、正に彼の発言内容にこういう放送に対する無知からくるものを感じ取ったからに他ならないと思う。
「知らない人間が勝手なことを言うな」
そういう怒りは分からなくもない。
しかし、知らない人間に対して「なぜ知らない」と怒ることほど空しいものはない。
ラジオ放送を、自社の事業を大きくしていく過程での単なる足がかり程度にしか思ってないんだとしたら、その程度の人に対して外野からあーだこーだ言ったところで何も始まらない。

---引き続きニッポン放送について
だったら、ラジオ放送とはどういうものかを「プロの放送屋」が、ちゃーんとあの素人の若造に教えてやればいいじゃないか。
それはニッポン放送の社員にしか出来ない務めだろう。
それが、どうして支配するかされるかの買収の話にしかならないんだ。

全社員による反対声明文なるものを作っていたけど、やりたきゃ勝手にやればいい。
たしかフジテレビの社員も「堀江社長がグループの代表になったら会社を辞める」と言っていた奴がいたが、堀江社長が嫌で辞めるのならそれはそれで構わない。
ただし、辞めたい奴は、リスナーが困らないように今ある番組をしっかり後の人間に引き継いでからにしてくれ。
しかし、ただ単に「あいつが嫌いだから」と言う理由だけで、ロクに話し合いもせず、そんなに大事なニッポン放送の風土とやらを守る闘いもしないで、一体彼らは何を守ろうとしているというのか。
「潰されるかもしれない」という危機感があるのなら、まずやれるだけのことをやって、それでもダメなら、そのトキに辞めればいい。
そうすればリスナーだって辞めていく社員の味方をするに違いない。
ところが、これまでの流れだけで判断すれば、一番リスナーに近いはずの現場の彼らから「リスナーに対する思い」というものがあまり伝わってこない。
また、経営陣がライブドアに代わったからと言って、今までの放送が不可能になるのだろうか?
最近、私が聴く番組で時々、ラジオ放送の危機感を訴えるコメントを聴くようになった。
これは、ニッポン放送以外の放送局も、ラジオ放送全体の問題として捉えている動きだと思う。
だが、聴き様によっては放送局の危機をリスナーに訴えて同情を引こうとしているようにも感じる。
私たちリスナーに抗議の電話でもしてもらいたいのだろうか?
本当に危機感を持つようになったのであれば、リスナーに訴えるのではなく、経営陣と直で話し合ってもらいたい。

私が番組の製作者サイドに求めたいのは、第一に円滑な番組進行であり、第二に面白い番組作りの姿勢である。
それと、放送局ではないが、ニッポン放送の出演者が降板を示唆する発言をしたことにも、ここで触れておく。
リスナーが何を楽しみにしてラジオを聴くのかと言うと、それは面白い番組であったり好きなタレントやDJのトークを楽しみにして聴いているのである。
放送局自体が好きでその局しか聴かないというリスナーもいるとは思うが、その割合は低いように思う。
たいていの場合、番組の「内容」か、ご贔屓の「人」を目的として番組を聴く。
もし、好きなタレントが番組から降板するとなったら、その番組のリスナーにとっては非常に悲しい事態に違いない。
出演者にしてみれば、恩義に感じているニッポン放送のことを思っての発言かもしれないが、今まで聴いてくれていたリスナーのことも考えてもらいたい。
例えば、別の局で同じような番組をそのまま続ける、というのであればいいが、そうでないのなら好ましいことではない。
要するに、リスナーが何を求めて番組を聴いているのかを、放送局の人も出演者も今一度考えてみて欲しい。

ライブドアとフジテレビの板ばさみの中で、これまでニッポン放送は言いたい事がちゃんと言えていないような気がする。
これからは「支配」という言葉にビビってないで、言いたいことを堀江社長に訴えていって欲しい。

---最後にフジテレビ
ライブドアに付け込まれるような「スキ」を作り、グループが崩壊しかねない状況を作ってしまった本体の罪はかなり重い。
ニッポン放送がライブドアの手に渡り、どうするのかと思えばソフトバンクに頼るとは・・・フジテレビに批判的な私でさえ大丈夫か?と少し心配になった。
今のところソフトバンクがテレビには手を出さないなんて言ってるけど、そんな言葉、信じられるもんか。
たしか日枝会長は、放送の公共性を保つという観点からもライブドアのやり方を批判していたように思うけれど、ソフトバンクが筆頭株主になっても同じことが言えるのか?
ライブドアはダメだけどソフトバンクならOKという基準が分からない。
上手いことソフトバンクが乗っ取ったように感じるのは考えすぎだろうか?
貸した株が返ってくるという5年後、フジテレビがどういう状態になっているのか行く末を見守りたい。

それと、堀江社長の言動は、考えてみれば分かり易い。
日枝会長からすれば堀江社長は無礼で失礼で乱暴な若造と映っているのかもしれない。
たしかに、見た目も大人と子供のケンカって感じだ。
だが、日枝会長のやり方は、大人の対応とは言い難い。
門前払いで直接会うことを避け、ライブドアのやり方を批判する。
良識ある大人の態度として、無礼な若者の行いを諭すのが大人のやり方かと思う。
この際だから、社会の礼儀というものを懇々と諭してやれば良かったんだ。
或いは、ムカつきが治まらないのなら、直接その怒りをぶちまけ、堀江社長が涙目になるまで説教するのもいいだろう。

しかし、そのようなトップ会談をせぬままソフトバンクに頼り、何よりも私がリスナーとしてフジテレビを腹立たしく思うのは、フジサンケイグループとしてラジオを見捨てたというこの事実だ。
「焦土作戦」というニッポン放送のリスナーをバカにしたやり方にも怒りを覚えるが、結局、本体のテレビが守られればそれで良しかい。
ソフトバンクに丸ごとくれてやるくらいなら、ライブドアと妥協点を探り落としどころを見つけた方が良かったんじゃないのか?
まぁ、今となっては、もうどうでもいいことなんだけど。


昨年のプロ野球合併問題ではオーナーサイドのファンに対する配慮の無さに愛想をつかしたが、今は放送局の買収問題で企業のリスナーに対する配慮の欠如を危惧している。
だから、せめてニッポン放送の社員だけでも、リスナーの期待を裏切らないように、いつまでも良い番組作りを心がけていて欲しいと願う。
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by k_milliard | 2005-03-29 02:29 | 寸評