2006年 10月 10日

《続報》少年の実名報道を巡る図書館の対応

9月12日のエントリ「配慮し過ぎるとおかしなコトになってくる」の続報です。

豊中市からメールで回答がありました。
回答文は図書館の館長名で書かれていました。
以下、メールのうち回答の内容部分を修正することなく掲載します。(笑)


--------------------ここから始まり

 いただきましたご質問にお答えいたします。

1)「産経新聞の報道内容は正しいのか」について

 事実関係については産経新聞掲載のとおりですが、
よりご理解いただくために、今回の経過の詳細をご
説明申しあげます。

①9月8日、図書館では開館後、読売新聞1紙が実
名報道、他の新聞は引き続き匿名報道であること
に気づきました(ちなみに、読売新聞では同日の夕
刊と9日の朝刊も実名報道でした)。

②図書館としましては、警察発表および新聞各社が
そろって匿名であった時期に『週刊新潮』が実名記
事を掲載した際に、その記事の部分を、来館者への
説明文を添付して閲覧制限しておりましたので、「少
年法」をめぐる新聞各社での対応が分かれるという、
前例のないケースに対し、その取り扱いに苦慮いた
しました。

③翌9日の開館前、岡町図書館長は内部での慎重
な検討とその間における暫定措置が必要であると
判断し、各図書館に「検討を行う間、読売新聞の
8日付け朝刊と夕刊を引き上げ、9日の朝刊は名前
の個所をマスクすること、そして、その旨の説明文
を添える」よう指示いたしました。これらの取り扱い
については、指示直後に生涯学習推進室長へ報告
し、室長からは「至急に新聞の取り扱いについての
結論をまとめて報告する」よう指示がありました。

④同日、14時30分から館長会議を開き、読売新聞
の取り扱いを検討いたしました。その結果、新聞
各社でその見解が分かれたこと、それ自体を市民
が知ることが大切であろうと判断し、「10日から通
常の閲覧に供すること、その取り扱いについての
利用者へ説明文を添え、併せて「匿名」と「実名」
についての9日付け新聞各紙の見解記事を利用
者の求めがあれば見ていただけるよう、各図書館
に備え置くこと」として、各図書館に指示いたしまし
た。

⑤以上が、この件の経過でございます。結果的に、
9日のみ、実名報道をした読売新聞の実名部分を
閲覧制限したことになりますが、週刊誌を「人権や
プライバシーを尊重する」という理由から、また、
その判断については、少年法や警察当局の発表、
新聞社の見解なども参考にして閲覧制限してきた
図書館としましては、新聞社が実名・匿名と報道
姿勢が分かれた事態に対し、対応策をまとめる
時間として、一日要したものでございます。

⑥なお、週刊誌につきましては、実名・匿名の両方
の報道が流通していることから、引き続き制限する
事由が消滅いたしましたので、9月13日から制限
をなくすとともに、その理由についても記事に添付
いたしました。


2)「いつからそうするようになったのか」について

 写真週刊誌『フォーカス』(1997年7月9日号)に、
神戸市須磨区で発生した小学生殺害事件の容疑
者である少年の顔写真が掲載されたときからです。


3)「市立図書館としてなぜそう判断したのか」について

 図書館といたしましては、図書館資料の提供に
あたり、日本図書館協会において採択されている
『図書館の自由に関する宣言』を踏まえながら対
処しています。

 同宣言では、「正当な理由がない限り、ある種の
資料を特別扱いしたり、資料の内容に手を加えた
り、書架から撤去したり、廃棄したりはしない。」と
しており、この「正当な理由」の一つとして人権・プ
ライバシーを侵害する資料である場合を掲げ、こ
のような場合には「図書館の資料提供の自由も制
限される」としています。また、少年法第61条でも、
原則として氏名等を公表してはならないと定めてい
ます。

 このようなことから、これまで、週刊誌や雑誌につ
いては検討のうえ、当該部分についてホッチキスど
め等の取り扱いを行ってきましたが、新聞では、こ
れまで少年事件は全て「匿名」で報道されていまし
たので、このようなケースはありませんでした。

 今回の少年事件につきましては、容疑者少年が
生存している間は、各新聞では「匿名報道」で統一
されていましたが、同少年が「死亡」したことから、
読売新聞では「実名」、他の新聞では「匿名」という
異なった報道となりました。このため、図書館といた
しましては初めてのケースでありましたので、慎重
な検討とその間における暫定措置が必要であると
判断したものです。


4)「市はどのように受け止めているか」について

 今回の取り扱いにおいて、混乱を生じ、市民・利
用者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしましたこ
とを、深くお詫びいたします。


5)今後について

・新聞各社の見解が分かれた場合は、市民がそ
の両方を知ることを保障することが大切であり、
閲覧制限等は行わない

・なお、週刊誌等につきましては、これら新聞各
社の見解等を参考にしながら、ケース・バイ・ケ
ースで検討する

・こうした検討を行なう際には、多方面のご意見
をいただける仕組みのもとで判断する

こととしてまいりたいと考えております。


 また現在、図書館協議会におきまして、「図書
館の評価」についてご議論いただいております
ので、今回の件につきましてもご意見をお聞きし、
開かれた検討・判断の仕組みづくりや方策をまと
めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお
願いします。

--------------------ここまでで終わり

と言うことで、実名報道について新聞各社の対応にバラつきがあったので、その対応を検討する間の暫定措置として閲覧制限を設けたようです。
で、週刊誌等については、1997年の神戸市須磨区の事件から閲覧制限を行っていたようで、今後も状況を睨みながら検討するそうです。
でも、私が思うに、1)の経過詳細の⑥で書かれている

> 実名・匿名の両方の報道が流通していることから、引き続き制限する事由が消滅いたしましたので、

ってことなら、週刊誌等も制限なんかする意味が無いと思うんですがねぇ、どうでしょうか。
それから、「図書館の自由に関する宣言」の人権・プライバシーを侵害する資料の場合は制限される、という解釈。
たしかに、ただプライバシーを暴くような類の表現であれば問題があると思うけど、それを出版社ではなく図書館がいちいちそれを判断するというのはどうなんでしょうか。
まぁ、今後は図書館独自の判断はしないようにするみたいですが。

メールのやり取りは豊中市の広報公聴課を通じて行われました。
最初は電話で問い合わせようかと思いましたが、以前家の近辺でトラブルがあった際に直接市役所の担当課に出向いたことがあったのですが、担当課長に少し高圧的な対応をされてしまい思っていたことを十分に話せなかったことがあったので、こういう場合は文書によるやり取りがベストだと思いました。
豊中市は体質的に問題が多そうなので、また何かあれば問い合わせることがあるかもしれませんね。
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by k_milliard | 2006-10-10 00:53 | 自分のコト


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